研究内容
電気光学効果で10-1に及ぶΔnを目指して
電気光学効果とは、物質(材料)に電圧をかけるとその物質の屈折率が変化する現象です。主に光通信で用いられる光変調器に応用されています。もともとの材料の屈折率nは2.2程度であるのに対して、変化分Δnは10-5台という非常に小さい変化ですが、それでも十分に光変調器への応用が可能です。なぜなら光の波長が1μm程度と非常に小さいからです。でもやはりこの小ささでは、用途は限定されます。わたしたちは、さらなる用途の拡大のため、10-2台から10-1にまで及ぶようなΔnを実現できないか、模索しています。
KTa1-xNbxO3
一般的な電気光学効果でΔnが印加した電界に比例するのに対して、KTa1-xNbxO3という物質は、Δnが電界の2乗に比例するという変わった物質です。この物質では、Δnは10-3を超えます。この非常に大きなΔnを用いると、光の強度や位相を変調する従来の用途だけでなくて、光線の向きを大きく変えるということが可能で、光ビームスキャナ(光偏向器)として販売されています。従来の光偏向器であるガルバノミラーと比べて、可動部分がなくてコンパクトで圧倒的に高速という画期的な製品です。しかしそれでも、Δnが10-3台の後半に近づくと、相転移という現象が起きて透明だった物質が濁ってしまって光を通さなくなってしまうという限界があり、用途が限定されてしまっています。この現状の打破のためには、濁らずにΔnが10-2に近づけるような条件の検討が必要と考えています。